アンコール・ワットに隠された秘密とその魅力

こんにちは、kmartです。

誰もが一度は行ってみたい場所、アンコール・ワット。
そんなアンコール・ワットに隠された秘密と魅力についてご紹介します。

アンコール・ワットをはじめとする巨大寺院群を有したクメール王国は、インドシナ半島の大部分とマレー半島の一部まで領土としたこともある大帝国であった。
その規模と完成された美しさで世界中に知られているアンコール・ワット以外にも、数百を超える宗教施設が王国全土に造られていた。

現在のシェムリアップ地域にその跡を残す王都は大農業王国の都であると同時に、王国内で最も豊かな水の都でもあった。
日本に例えてみると、平城京の造営された大和盆地に当たるのがシェムリアップ地域で、現在の東京23区にも匹敵する広大な規模であったことがわかっている。

シェムリアップ地域には100を超える大小様々な寺院が建立されたが、創建時の東大寺に相当するのが、宗教施設であると同時に都のシンボルでもあったアンコール・ワットといえる。

密林の中に忽然と姿を現わすアンコール・ワット。
独自の世界観を持つ小宇宙がここにある。

神になるためのセレモニー空間

アンコール王朝では強大な権力を持つ王の存在は珍しく、いつも地方の勢力と競合していた。
それにもかかわらず500年にわたりシェムリアップ地域に王都が存在し続けたのは、この地域が経済的、政治的な要所であっただけでなく、新王は寺院の造形などにより、前王の正統な継承者であることを証明する必要があったためである。
またアンコール王朝の都は、宗教上の聖都でもあったからなのだ。

この聖地を支配下に入れて近隣地域を治めた王は、前王よりもさらに壮大な寺院を造営し、新たに王位に就いたことを全国民にアピールする儀式を盛大に行った。
その寺院は王の権力の象徴であるとともに、自身が宇宙の支配者である神々と交信した神聖なる場所でもあった。
宗教によって方法は異なっていたが、古来より、王は神聖なる場所を定めて宇宙の支配者である神々と交信した。
アンコール地域に残された多くの宗教遺跡は、天界との交信場所だったのである。

アンコール・ワットの創建者であるスールヤヴァルマン二世は、王権を神格化するために独自の宇宙観をここで表現した。
アンコール・ワットはヒンドゥー教三大神のなかのヴィシュヌ神に捧げられた寺院であり、中央祠堂とそれを囲む4基の尖塔は宇宙の中心、中央祠堂はヴィシュヌ神が降臨し、王と神が一体化する場と考えられていた。

同時にこの寺院はスールヤヴァルマン二世を埋葬した墳墓でもあった。
一見矛盾するようだが、死後に王と神が一体化するデーヴァ・ラジャ思想に基づくもので、寺院は信仰の対象物である以上に、王が死後に住むための地上の楽園を意味していたのである。

神のための宮殿と王のための宮殿

クメール建築では、神のための宮殿は耐久性のある砂岩やレンガで、王の宮殿は自然の恵みを象徴する木造というように、材料を分けて造っていた。

神のための宮殿アンコール・ワットでは、参道をたどって少しずつ中心に近づいていき、最後の最後に一番重要な空間がある。
これは、長い参道の一番奥に神殿のある日本の神社建築と共通した建築手法と言える。
アンコール遺跡の宗教建築は、西洋式のアーチ構造を用いずに砂岩やレンガを積み上げて造る石造建築という技術的な制約から、大きな建築物は造りにくかった。
そのため、小さなユニットをつなげて建物を構成する手法が採用されている。

プノンペン中心部には、大河に面して王宮がある。
この宮殿の形式は後世にタイの宮殿の影響を受けて改築されており、オリジナルな様式とはいえないが、バイヨン寺院の浮き彫りに描かれた宮殿によく似ており、日本の寺院や寝殿造りのようにひとつの建物が、ひとつの目的のために造られているところに特色がある。

水を支配するものが国を支配する

アンコール・ワット中心部の十字回廊には、沐浴上と考えられる4つの聖なる池がある。
第三回廊にも同様に聖池が四方に配置されている。
しかし、これらの池は単なる王の水浴びのための施設ではなく、王国の農業を支える治水技術を示す宗教施設でもある。
農業における貯水施設は、必要な水源を確保する池と、それを再分配する水路から構成されている。
この聖池は水が四方に広がることによって乾季に必要な水源の確保を可能にしていたことを象徴している。
つまり、神の住む楽園にある聖池は灌漑装置であり、それが四方に配置されることは耕地まんべんなく水を供給できる技術の素晴らしさを誇示しているのである。
このようにあらゆる形で宗教的な宇宙観を具現化したのがアンコール・ワットだ。
十字回廊にある4つの聖池は地上界の聖池であり、第三回廊の4つの聖池は天空の聖池を表している。

このような宗教的な意味合いに加え、技術的な理由もあった。
アンコール・ワットを含めたクメール建築では、回廊を組み合わせる以外には、大きな内部空間を造る方法がなく、必然的に屋根を架けない池の空間を造る必要があった。
また、地上よりも高い位置に水をたたえた池を造ることは、現代の技術でも容易ではない。

技術的な制約を超えて天空の楽園を実現するための様々な工夫が、クメール建築の秘密であると同時に魅力でもある。

是非魅力溢れるアンコール・ワットへ足を運んでみてはいかがだろう。

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