アンコール遺跡で出会える神々の鑑賞方法

こんにちは、kmartです。

アンコール遺跡ではいろんな場所で神様が現れます。
そんな神々の鑑賞をするときに知っておくと便利なことを書いてみました。

ヒンドゥー教と仏教の微妙な関わり

異文化、特に宗教をイメージするのは容易ではない。
ヒンドゥー教といっても、縁遠い存在で実感がもてない。
しかし、吉祥天、梵天、帝釈天など仏教の神々と思い込んでいる、天(ダイバ)と呼ばれる神々の多くが、インド古代神話に出てくるヒンドゥー教系の神々であることを知れば、少しなじみやすく感じる。
日本の仏教においても、ヒンドゥー教などの異教の神々までを、仏教の宗教体系に再編成して取り入れているのだ。
日本では天(ダイバ)は如来、菩薩よりも一段低い地位におかれている。

寺院の中に登場する神々

カンボジアへ到来したヒンドゥー教も、インドと同様にブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァの三大神を中心に神格が形成されている。
それに加えて他の多くの神々が複雑に絡み合っている。
ヒンドゥー教には三大神の他にも、神の妻、息子という神も存在し、さらに、それらの神々は様々な姿に化身することで知られる。
この家族的な構成を示す神々の体系は、異教の神を妻に娶るという形で組み入れていった結果と言える。

本来、ヒンドゥー教の最高神であるブラフマー神は、なぜかインドと同様にカンボジアでもあまり彫刻の主題とされることがなかった。
その代わりにヴィシュヌ、シヴァの両神が信奉された。
これは実利的な効能の明らかな神に人気があったことを示している。

仏教に関して見ると、彫刻の形で表現される仏陀は法衣を着て、宝飾類で身を飾っている場合が多く、さらに王冠型の髪飾りが被せられている。
仏陀がヴィシュヌ神の化身のひとつであるという解釈もできる。
仏陀は7つの頭を持ったナーガの上に座した姿が多く、現在でもカンボジアの人々はこの形式の座像を好んで信仰している。

ヒンドゥーの5大神とアンコールの3大王

遺跡にはヒンドゥー教、仏教の様々な神様が祀られている。
あるときは人の姿に似せて、またあるときは化身として、いろいろな姿で表現されている。
遺跡内でよく目にするヒンドゥー教の5大神と、クメールの3大王を紹介します。

シヴァ神

シヴァ神は破壊を司るが、凶暴な性格と同時に温和な一面ももつ。
聖山カイラス山に住み、ナンディン牛を乗り物とする。
また、額の中央には第三の目があり、ホラ貝や斧、剣、楯、ドクロの杖などを持つ。
本尊として祀られるときは、リンガという男根の形を取ることが多い。
このことはシヴァ神が凶暴で破壊を司るだけでなく、一面では破壊後に創造を行う神とされ、生殖崇拝と結びついていたことを示す。
この場合はヨニと呼ばれる女性器の象徴と組み合わされて、多くのヒンドゥー寺院で崇拝されている。

ブラフマー神

本来は宇宙の創造神、言語の神としてバラモン教の最高神であった。
インドの神話ではシヴァ神やヴィシュヌ神が魔神に苦しめられたとき、ブラフマー神に救いを求めたとされている。

だが、中世のカンボジアではインドと同様、あまり人気がなかった。
四面の顔と4本の腕、手には数珠、笏、水差し、蓮華、水壺、弓などを持っている。
日本では梵天として知られている。

ヴィシュヌ神

ヴィシュヌ神は、太陽の光り輝く状態を神格化した神で、天・空・地を3歩で闊歩するといわれる。
怪鳥ガルーダに乗り、4本の手を持つことが多い。
それぞれの手にはホラ貝、輪宝、棍棒、蓮華を持つ。
神話の中では、シヴァ神が山岳地域と関係が深いのに対して、ヴィシュヌ神は海洋地域との結びつきが強い。
比較的温和な性格で、信奉者に恩恵を施し、人類滅亡の危機の折には様々な化身になって、世界を救済する神とされている。

ハリハラ神

ハリハラ神はシヴァ神とヴィシュヌ神を合体させた混合神。
インドと同様に右半分がシヴァ神で、左半分がヴィシュヌ神の姿になっている。
神格の違う二大神を合体させるというのは、なかなか大胆かつ合理的な発想で、東洋の宗教的風土をよく示している。

ラクシュミー

ヴィシュヌ神の妻。
その類いまれなる美しさからインドでは理想的な妻、あるいは女性の典型として人気がある。
神々と阿修羅がアムリタ(不老不死の霊水)を求め、乳海をかき回すと、海の中から現れたとされている。
赤い睡蓮の上に立ち、4本の腕にはそれぞれ蓮華、アムリタの瓶、ヴィルヴァの実、ホラ貝などを持つ。
日本では吉祥天と呼ばれている。

そのほかの神

遺跡群内では、仏陀、雷神のインドラ神、ヴィシュヌ神の化身クリシュナ神、シヴァ神の子供のガネーシャ神、シヴァ神の妻ウマ(パールヴァティー)、愛の神カーマ(カーマデーヴァ)などの像が見られる。

スールヤヴァルマン一世

1010~1050年頃に在位したアンコール朝の国王で、アンコール・トムの建造に着手。
都城内の王宮を新築し、護国寺院であるピミアナカスを建立した。
また大規模な貯水と灌漑施設である西バライの開拓、タイのチャオプラヤー川下流まで支配を拡大したことでも知られる。

スールヤヴァルマン二世

1113~1150年頃に在位したアンコール朝の国王で、アンコール・ワットを建設、約30年かけて完成させる。
在位時は、国内外の敵対勢力との争いが多く、西はビルマ国境付近まで、東はチャンパ王国まで攻め入り、広い範囲を支配した。
しかし多くの戦争とアンコール・ワット建造で経済的に疲弊し国内は低迷したともいわれる。

ジャヤヴァルマン七世

1181~1220年頃に在位したアンコール朝の国王で、王朝の全盛期を築き繁栄をもたらした。
即位前に、アンコールを占領していたチャンパ王国の軍隊と戦闘を交え、アンコールを奪還させる。
即位後は戦争で荒廃した国の復興を目指し、都をアンコール・トムに定めた。
王都の造営および国内の道路網の整備、その道路沿いに病院や宿駅はじめ数多くの寺院を建立している。

架空動物のパラダイス

遺跡には数々の架空の動物が登場する。
インド神話に出てくるこれらの動物は、ときにユニークに、ときに迫力や威厳も備えて石の中から浮かび上がる。
なかでも数多く登場する動物を紹介します。

ガルーダ

インド神話に登場する怪鳥で、金色の羽をもち、天界を巡る太陽にその起源があるとされる。
ヴィシュヌ神の乗り物で、聖なる鳥として知られており、体は人間の姿、頭とくちばし、翼と爪だけはワシの形を示す。
ナーガの天敵で、ガルーダとナーガが格闘する姿を描写した場面が壁面彫刻に多く見られる。

ガルーダはヴィシュヌ神と組み合わせて描かれるが、カンボジアでは単独でも信仰の対象とされる。

マカラ

マカラは水中および地上にある生き物の象徴で、その唐草模様状の表現によって植物、つまり地上を象徴する。
同時にパックリと開いた口や、四足獣が座ったときの後肢のように見える表現は、水中の生態を表している。

神話のなかでのマカラは、神秘的、呪術的な力を持ち、天上界や地上界における水神ヴァルナとガンジス川の女神ガンガーの乗り物とされる。

ナーガ

インドの先住民に広く崇拝され、アーリア人の宗教にも広く取り入れられた蛇神で、その信仰が東南アジアに広まったとされている。
猛毒があることや、動きが俊敏であることから神秘的な存在として恐れられると同時に、毎年脱皮することから「不死のシンボル」として崇拝されるようになった。
神話のなかでは、人間の顔を持ち、蛇の尾とコブラの首を持つ半神半獣的な存在である。

ハヌマーン

ハヌマーンは猿の神で、長い尾を持ち、怪力と神通力を備え、空を飛んだり体の大きさを自由に変えたりすることができるといわれている。
「ラーマーヤナ」のなかでは、ラーマ王子に忠誠を尽くすサル軍の将として登場し、悪魔からシータ姫を救出する戦いで大活躍をする。

カーラ

カーラとマカラは代表的な装飾モチーフで、カーラは上部に、マカラは下部に組み合わせて配置される。
カーラは時間を象徴する神で、死者の王である「ヤマ」の別名でもある。
インド神話には食欲旺盛な怪物として登場し、自らの体までも食い尽くしてしまい、顔面のみになったとされる。
インドよりもむしろジャワやカンボジアで好まれており、恐ろしいというよりはユーモラスな存在である。
仏教では死者の王としての閻魔王に相当する。

最後に

今回は年の初めということで神々について書いてみました。
気になる神様はいましたか?
次に旅するときは神様を探してみてください。

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